1人が本棚に入れています
本棚に追加
「…わたし、プロポーズされたの。」
小さく震えた声でそう告げる彼女。
「…そう。」
「…うん。」
小さく俯く彼女は、
今にも溢れそうなほど目に涙を溜めている。
家が隣で、親同士も仲が良くて、
小さい頃から兄妹のように育ってきた。
今までだってお互い恋人はいたが
いつも何か違うと感じていた。
いつも隣にいるのが当たり前で
お互いのことをよく分かっている
親友以上、家族のような存在だった。
だから認めたくなかった。
この気持ちを認めて、この関係が壊れることを。
ずっと知らない振りをして、
気付かないようにこの感情を隠してきた。
その一方で俺にはあいつしかいないと思っていた。
しかし、あいつは違うかもしれない。
俺はあいつが幸せなら、笑っていられるなら
その隣にいるのが俺じゃなくてもいいと思っていた。
今の彼氏とは長く続いていたし
年齢的にもいずれこうなるのではないかと
覚悟はしていた。
しかしこれは完全に想定外だった。
最初のコメントを投稿しよう!