奏多side

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「…わたし、プロポーズされたの。」 小さく震えた声でそう告げる彼女。 「…そう。」 「…うん。」 小さく俯く彼女は、 今にも溢れそうなほど目に涙を溜めている。 家が隣で、親同士も仲が良くて、 小さい頃から兄妹のように育ってきた。 今までだってお互い恋人はいたが いつも何か違うと感じていた。 いつも隣にいるのが当たり前で お互いのことをよく分かっている 親友以上、家族のような存在だった。 だから認めたくなかった。 この気持ちを認めて、この関係が壊れることを。 ずっと知らない振りをして、 気付かないようにこの感情を隠してきた。 その一方で俺にはあいつしかいないと思っていた。 しかし、あいつは違うかもしれない。 俺はあいつが幸せなら、笑っていられるなら その隣にいるのが俺じゃなくてもいいと思っていた。 今の彼氏とは長く続いていたし 年齢的にもいずれこうなるのではないかと 覚悟はしていた。 しかしこれは完全に想定外だった。
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