伊織side

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「…僕と結婚してください。」 彼と付き合って2年。 そろそろかもしれないと覚悟はしていた。 実際その場面になったらドラマのように 「はい。」とすぐに返事ができるかもしれないと思っていた。 でも… 「…ごめんなさい。 少し、考えさせてください。」 「いきなりだからびっくりしたよね? ゆっくり考えて決めて大丈夫だから。」 優しい彼はそう言ってくれた。 そのあとの会話は何ひとつ覚えていない。 右から左に頭の中をただ流れていった。 ずっともやもやした何かが頭の中にあって 考えがまとまらない。 彼はとても優しくてわたしをすごく大切にしてくれる。 家事だって手伝ってくれるし、 記念日や誕生日も忘れずお祝いしてくれる。 なによりわたしをすごく愛してくれている。 彼と結婚したら幸せになれるんだろうなって 頭では分かっている。 なのに結婚に踏み出せない。
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