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遺品整理というのは骨の折れる仕事だ。専門の業者もあるくらいだ。
故人のものだと思うと、捨てがたいものばかりなような気がして、なかなか手が進まない。
押し入れを掘り返していると、小さなダンボール箱を見つけた。
引っ張り出して開けてみると、入っていたのは何冊かの古いアルバムだった。
すっかり色あせた表紙を開くと、幼い頃の兄と私が写った写真が並んでいた。
七五三、卒園式、入学式。
遊園地、海水浴、クリスマス……。
兄妹で写っていたり、単体で写っているものが多いが、母や父や、近所に住む友達と写っているものもあった。
父がいた頃はよくこうして写真を撮ったものだが、両親が離婚してからはあまり撮っていない。出かけることが減ったからだ。
懐かしい気持ちで、アルバムをめくる。
しばらくは、
――ああこんなこともあったっけ、
――母さん若いなぁ、
などと感傷にひたっていたが、
「……あれ?」
ふと気になって、手を止めた。
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