アルバム

5/13
前へ
/13ページ
次へ
*  私は迷った挙げ句、兄に相談することにした。  ひとりで抱えるには気味が悪すぎるし、誰かに話せば『なんだ、たいしたことないじゃないか』と思えるような気がした。  初めは写真を見せても、兄はよくわからなかったようだったが、私が男を指し示すと「ああ」と納得した。 「うわ、気づかなかった。ああ、こっちにもいるのか。偶然にしてはできすぎてるなぁ。なんだこれ、ストーカーか?」 「そう、なのかな……。なんか、違うような気がする……」 「じゃあ、心霊写真とか?」 「わかんないけど……気味が悪くって」  何枚もの写真に、見知らぬ不気味な男が写り込んでいる。明らかに異常だ。  ストーカーかもしれないが、それにしたってこんなにうまい具合に写真に写るものだろうか。  恐ろしい考えが浮かぶ。  この男は母に憑いていた悪い『なにか』で、この男が母の命を縮めたのではないか――。  ――馬鹿馬鹿しい。ホラー映画じゃあるまいし。  私がおかしな考えを振り払っていると、兄が不意に話し始めた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加