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私は迷った挙げ句、兄に相談することにした。
ひとりで抱えるには気味が悪すぎるし、誰かに話せば『なんだ、たいしたことないじゃないか』と思えるような気がした。
初めは写真を見せても、兄はよくわからなかったようだったが、私が男を指し示すと「ああ」と納得した。
「うわ、気づかなかった。ああ、こっちにもいるのか。偶然にしてはできすぎてるなぁ。なんだこれ、ストーカーか?」
「そう、なのかな……。なんか、違うような気がする……」
「じゃあ、心霊写真とか?」
「わかんないけど……気味が悪くって」
何枚もの写真に、見知らぬ不気味な男が写り込んでいる。明らかに異常だ。
ストーカーかもしれないが、それにしたってこんなにうまい具合に写真に写るものだろうか。
恐ろしい考えが浮かぶ。
この男は母に憑いていた悪い『なにか』で、この男が母の命を縮めたのではないか――。
――馬鹿馬鹿しい。ホラー映画じゃあるまいし。
私がおかしな考えを振り払っていると、兄が不意に話し始めた。
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