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すべての用意を終えて
「いってきまーす!」
誰もいない部屋に向かっていう。
鍵を締め歩き出した。
マンション下では、管理人であり大家さんでもある城崎さんが昔懐かしの竹箒で道を掃いている。今日もご苦労さまです。
「城崎さん!おはようございます!」
「六華ちゃん、今日も元気ね!いってらっしゃい♪ 九郎ー! 六華ちゃんが出る時間よ!あんたもさっさと行きなさい!」
「城崎さん、九郎?って誰ですか?」
「息子が帰ってきたのよ。割りと近所に住んでたんだけど中々家に寄り付かなかったのにね昨日急にね。」
管理人室から黒髪の長身長の男性が出てきた。全身黒ずくめ。なんだかデジャヴだわ。
「おはよー。六華。すぐに会えただろ?」ニヤリ。
「あー!! クロ!? ほんとに居たんだ!」
「近くにいるって言っただろ?」
「いやいやいや。近すぎでしょ!」
「九郎!六華ちゃん。長話してると会社に遅刻するわよ。二人共いってらっしゃいね!」
「! 電車の時間!ヤバイっ。」
「じゃ、お袋行ってくるわ。ほらっ。六華行くぞ!」
強引に手を繋がれ二人で歩き出す。
自分で自分の頬が紅くなるのを感じる。ヤバイ。今物凄く顔真っ赤だ。恥ずかしい。
「取り敢えずは、駅まで行くぞ。ん? さっきから何も話さないがどうした?」
「て。」
「て? てがどうした?」
「繋いだまま。」
「…。なんだ。照れてただけか。六華は可愛いな。」
「な!」
「ほんと可愛いな。俺は手を繋げて嬉しい。まさか現世でこう出来るとは思っていなかったからな。これからは、押しまくるから覚悟しろ?」ニヤリ。
「私! こんなこと慣れてないから! お、お手柔らかにお願いいたします…。」
「くくっ。ふはっ! はい。お願いされました。なぁ、キスしていい? 今、ものすごくしたい。」
「いやいやいや! 朝だし! 今、通勤時間だから! ダメでしょ!」
「六華は真面目だなぁ。」
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