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「ちょっと! なんで平々凡々な私が神様に見初められなきゃなんないのよ!」
「君、自分の事を卑下しちゃいけないよ? 君は側にいて安心するんだ。神にとってそれはとても貴重な事なんだよ? 君を庇っているそこの二人もそうなんじゃないのかな? ねぇ?」
「俺はそんなんじゃねーよ。コイツはあまりにも無防備過ぎんだよ。」
「あー。わかる。物凄くわかるよ。だから僕は声を掛けたんだ。」ニコッ。
「無防備ってなに? 私の何処がよ。」
「醸し出すオーラからして無防備だ。」
「そうそう。何でも受け入れるって感じがもう神を虜にするって訳。」
「意味わかんない。」
マジわかんない。
「穢れない魂に神やら魔とかが惹かれるって話だ。その昔、俺はお前自身に呼ばれた。」
「?」
「お前は覚えていないのかも知れないが、夢の中でお前は獣を探していた。その獣が俺だ。」
「獣?」
「そう。俺は黒竜。お前が求めていたもの。無垢な魂が無防備に夢の世界に迷い込んであまつさえ最下層を目指していた。護りも無いのに最下層に行くのは無謀以外なんでもない。魂を喰われても文句は言えない世界なんだ。呼ばれて言ってみれば小さな子供が彷徨っていた。護る為に契約をした。無意識とはいえ俺を呼べる程の力量を持っていたんだ。コレはチャンスだと思うだろ?」
「チャンスって何よ!」
「無垢な魂を手に入れれば力は上がる。」
「私、食べられるの?!」
「あー。ああ、ある意味喰うな。」ニヤリ。
「私、死んじゃうんだ。」
「死なせねーよ! ある意味っつたろ。喰う意味がちげーよ!」
急にぎゅっと私を抱きしめるクロ。
顎に手を宛てがい目を合わせられる。
俺が喰うって言った意味はこうだよ。と、唇を奪われた。初めは力強く息が出来ないほどに激しくて
「んー! んんっ!!んーーーっ!!」
余りにも苦しくて敵わないとわかっていてもクロの
胸を強く叩く。
「んー! ぷはッ。はぁはぁ…。」
離された瞬間息を吸った。
死ぬかと思ったぁ。
「もうバカー! 死ぬかと思ったじゃんかー」
「……。お前の唇は甘いな。次は優しくする」
クロの言葉が終わるか終わらないかで再びキスをされた。
言葉通りの優しく甘いキス。初めの激しさが嘘のような。
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