1 それからの二人

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「シートベルト締めてね」 「え? ……あっ……」 緊張のあまり、シートベルトすら忘れている自分に気づく。 もうやだ……っ!! 恥ずかしさでいっぱいになりながら、急いでベルトを締めようとするも手がもたついて。 カチャカチャと鈍い金属音が響く。 「貸して」 そこへ、見かねた先輩が運転席から手を伸ばして、 慣れた手つきでベルトを締めてくれた。 「……ありがとう」 「どういたしまして。 じゃあ、行こうか」 そう言って、柔らかく笑う先輩は、やっぱりどこか大人っぽくて。 制服姿の自分に対して、なんで今日に限って着替えを持って来なかったんだろうと、改めて後悔した。 「今日、2時間しかとれなくて」 車が走り出して少し経った頃。 ハンドルを握る先輩が、口を開いた。
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