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赤信号で、車が止まったタイミングを見計らって、運転席の先輩の頬にそっと唇を近づけると、先輩は驚いた表情を見せた。
「びっくりした。
……どうしたの」
「急にしたくなっちゃいました」
へへ、と笑いながらそう返す。
人通りの多い交差点だったけれど、前にも両隣にも車が止まっているから「今だ」って思って。
「したくなっちゃいました、って……」
「そういう時もあるじゃないですか」
先輩も、ふいうちには弱いんだな、と。
素の反応にいとおしさを覚えていると、信号は青に変わって。
気づいた先輩が再び車を走らせる。
「今、こういう事されると困る」
「……ごめんなさい」
もしかしてタイミングを間違えちゃったかな、と、先輩の呟きに肩をすくめる私。
「そうじゃなくて」
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