3 恋バナとエピソード

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今日の帰宅時間と比べると、随分早く感じられて、 思わず声のボリュームを上げて反応してしまう私。 『ふ。 そんなに嬉しいの?』 するといつもの余裕しゃくしゃくな先輩の口調が、降ってきて。 「あ、またからかうつもりだな」と思ったけれど、 早く会えて嬉しいのは本当だからと、ここは素直な気持ちを伝える事に。 『嬉しいです。 ……先輩と少しでも長く一緒にいられるから』 多少の気恥ずかしさはあったけれど。 自分の思いを言葉にしたら、胸がすっきりとして。 清々しささえ覚えていると。 『……好きだな』 『え?』 『愛也のそういうところ好き、俺』 ぼそっ、と。 鼓膜が震えるような低い声でそう呟くものだから、 私は、かあああっと顔が熱くなって。 ……ずるい。
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