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「そうそう!
その勢いで頑張って」
と言おうとして、言葉を飲んだ。
だって。
ふと横を向いた瞬間に彼の顔がそこにあったから。
「……ど、どうしたの?」
突然の出来事に固まる。
ついさっきまで間に人が一人座れる距離感だったのに、彼が一瞬の間に上半身だけをこちらへ寄せて、唇が触れそうな手前まで、距離を詰めてきたから。
「ハハ」
そんな私をよそに、至って落ち着いた様子の瞬君はスッと体制を元に戻したかと思うと、奥二重の目をくしゃっとさせた。
「この状況で、どうしたの?はないでしょ。
……愛也ちゃん鈍いから、分かりやすくしたつもりだったのにな」
「……」
ちょっと待って。
い、今のはなんなの!?
分かりやすくした、って何!?
瞬君に何が起きたの!?
聞きたい事があり過ぎて、頭の中がぐるぐると混乱し始める私。
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