1 それからの二人

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にっこりと、笑っている様に見えるけれど、それは表情だけで。 その笑顔の下にどんな思惑が隠れているんだろうと思うと、先輩からは「着くまでのお楽しみ」と知らされていない目的地にこのまま到着して欲しくない 気もした。 「着いたよ」 車を走らせること40分。 先輩が連れてきてくれたのは、人気のない海沿いに佇む一軒のカフェだった。 白い壁に赤い屋根の外観はまるで一軒家のようで。 出入り口の前には手入れされた観葉植物の鉢が一つ置かれていた。 「いらっしゃいませ!」 二人で店内に入ると、店主らしきエプロン姿の男性がカウンターから現れる。 「お、直生じゃないか」 デニムのシャツに黒いパンツ姿のその人は、先輩に気づくなり一重の目元をくしゃっとさせて笑った。 スポーツをやっていた様ながっちりとした体型に、 短めの黒髪がよく似合っている。 「辻さん、今日は彼女と来ました」
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