4 新たな事実

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大通りから乗ったバスは、通勤ラッシュ前だからかすいていて。 前から3番目の一人掛けの座席に腰を下ろした後、車や人が行き交う窓の外を眺める。 「……」 こうして、先輩のマンションに向かうのも当たり前になりつつあるけれど。 例えば私が就職して一人暮らしをする事があれば、その時は先輩と部屋で一緒に過ごせたらと、そんな淡い思いを抱いていて。 先輩がホッとできる場所になれたらなあと思って。 ちなみに、いつか二人で暮らせる日が来たらなあと夢見ていたりもするけれど。 それはまだ胸にしまっておこうと思いながら、私はマンションに向かった。 45分後。 マンションに到着した私は合い鍵を使って、先輩の部屋に入る。 ガチャ。 パタン。 「……」 あ。 ……先輩の匂いがする。
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