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ピンポーン。
と、部屋のインターホンが先輩の帰宅を知らせる。
「……」
あれ?
ちょっと遅れるかもと連絡があったのに早いなあ、と不思議に感じながら壁の時計に目をやると、針はちょうど6時を回ったところで。
……ま、いっか。
理由はなんであれ約束の時間に帰ってきてくれたんだから。
そう思うと同時に淡いピンクのグロスを纏った口元が緩んで。
付き合って間もないわけでもないのに、そわそわと逸る気持ちと共にミラーをソファの上のポシェットにしまい込むと、浮き足立つ足元で玄関に向かい、ドアの鍵を外す。
ガチャ。
「ただいま」
そこには黒いスニーカーとパンツの上に、白いカットソーとデニムのシャツを身に着けた先輩がいて。
玄関先の私と目が合うなり、ふんわりと笑みを浮かべた。
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