4 新たな事実

25/46
前へ
/681ページ
次へ
ピンポーン。 と、部屋のインターホンが先輩の帰宅を知らせる。 「……」 あれ? ちょっと遅れるかもと連絡があったのに早いなあ、と不思議に感じながら壁の時計に目をやると、針はちょうど6時を回ったところで。 ……ま、いっか。 理由はなんであれ約束の時間に帰ってきてくれたんだから。 そう思うと同時に淡いピンクのグロスを纏った口元が緩んで。 付き合って間もないわけでもないのに、そわそわと逸る気持ちと共にミラーをソファの上のポシェットにしまい込むと、浮き足立つ足元で玄関に向かい、ドアの鍵を外す。 ガチャ。 「ただいま」 そこには黒いスニーカーとパンツの上に、白いカットソーとデニムのシャツを身に着けた先輩がいて。 玄関先の私と目が合うなり、ふんわりと笑みを浮かべた。
/681ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3289人が本棚に入れています
本棚に追加