1 それからの二人

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前を歩いていた先輩が、テーブル席を抜けたところにある柱を曲がってドアを開ける。 「……うわあ」 そこには、海沿いの立地ならではの見晴らしの良い景色とウッドデッキが広がっていて。 海外にトリップしたような風景に、私は思わず声を漏らした。 「気に入った?」 「もちろんです! すごくきれい……っ」 「良かった」 感動のあまり言葉を詰まらせる私の隣で、嬉しそうな表情を見せる先輩。 目的地を内緒にしてまで、ここへ連れてきてくれた理由はこれだったんだと気づいて、ジーンときた。 「座ろうか」 「はい」 ひとしきり景色を満喫した後、3つあるテラス席の一つに二人で腰を下ろす。 「やっぱり落ち着くな、ここ」 そう呟いて。 遠い目で海を見つめる先輩の横顔に瞳を奪われる。
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