3240人が本棚に入れています
本棚に追加
/681ページ
せっかくのデートなのに、何やってるんだろう私。
集中しなくちゃ!
「あの、先輩、私……」
ごめんなさいと謝ろうとした瞬間。
先輩はなぜか私に向かってパッと手のひらを向けてきた。
「そんなに見ないで。
……我慢できなくなる」
そう言って。
もう片方の手の甲で顔を隠す様な仕草をする先輩。
めずらしく照れているのか、なんだか頬が赤らんでいる。
「……」
ずるいなあ。
そんな可愛いところ見せられたら抱きしめたくなるじゃない。
「……お待たせ」
頭上に降ってきた低い声に反応して顔を上げると、そこにはドリンクを運んで来てくれた辻さんの姿があって。
「つ、辻さん!」
驚いた私が声をあげると、辻さんは赤面しながら、
大丈夫、見なかった事にしてあげるからと言って、
向かって左に座る先輩に向かって意味ありげな視線を送った。
最初のコメントを投稿しよう!