1 それからの二人

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せっかくのデートなのに、何やってるんだろう私。 集中しなくちゃ! 「あの、先輩、私……」 ごめんなさいと謝ろうとした瞬間。 先輩はなぜか私に向かってパッと手のひらを向けてきた。 「そんなに見ないで。 ……我慢できなくなる」 そう言って。 もう片方の手の甲で顔を隠す様な仕草をする先輩。 めずらしく照れているのか、なんだか頬が赤らんでいる。 「……」 ずるいなあ。 そんな可愛いところ見せられたら抱きしめたくなるじゃない。 「……お待たせ」 頭上に降ってきた低い声に反応して顔を上げると、そこにはドリンクを運んで来てくれた辻さんの姿があって。 「つ、辻さん!」 驚いた私が声をあげると、辻さんは赤面しながら、 大丈夫、見なかった事にしてあげるからと言って、 向かって左に座る先輩に向かって意味ありげな視線を送った。
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