1 それからの二人

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とは言ったものの。 いつもは先輩が運転席で操作して外してくれる為、肝心の助手席のロックの外し方が分からず、逃げ場のない窮地に立たされた様な心境になる。 ……どうしよう。 後先なんて考えていなかったから、ただ固まるしかない私。 すると隣から、間違いなく私に対する一言だと思われる呟きが聞こえて。 「……はっきり言わないと伝わらないか」 はあ、と。 諦めの混じった様なため息をついた先輩は、膝の上にあった私の右手を取ったかと思うとそのまま口元に近づけた。 「せ……先輩っ!」 びっくりした私は、慌ててその手をほどこうと試みるけれど、手首を掴まれているせいか、先輩の手はびくともしなくて。 「もう忘れたの?」 「え」
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