1 それからの二人

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んん? 『もう忘れたの?』 まるで約束事でもしていたような言葉をかけられて、ますます混乱する。 「……覚えてないか」 「……」 『というか、記憶にないです』と言いたいけれど。 先手を打たれた状況でそんな返答をしたらその後の展開は目に見えているから、ここは先輩にやんわり聞き出す方向にしようと思っていると、右手の甲に唇の感触が走った。 「わっ! なにするんですかっ」 「思い出せないみたいだから」 「そ、それとこれがどう繋がって……あっ」 今度は手首に唇を落とされて、ついには声が漏れてしまう。 人気のない駐車場の車内でこんな事をしているのが恥ずかしくて。 もう片方の手で口元を覆った。 「……全然分かってないみたいだから言うけど」
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