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コンコン。
「直生、入るわよ」
ガチャ。
「あ、良いじゃない。
爽やかで夏らしくて」
6月半ばの日曜日。
楽屋で髪型を仕上げてもらっていると、担当者との打ち合わせを終えた大嶋さんが現れて。
ドレッサーの前に腰を下ろした俺を一目見るなり、
にっこりと笑みを浮かべる。
「社長直々に『好感度アップのシャツスタイルで』って、連絡があったからね。
衣装の中から最大限そう見えるように選んだけど、
これで良かった?」
「バッチリよ。
良いチョイスだわ」
ライトブルーの麻シャツに紺のテーパードパンツを身に着けた俺が鏡越しに問いかけると、後ろに立つ大嶋さんは、人さし指と親指で丸を作って見せた。
その仕草に視線を注いだ流れで大嶋さんを見ると、
ストライプ柄のパンツスーツはいつにも増してシワ一つ無く。
このイベントに懸ける大嶋さんの気合いが伝わってくるようだった。
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