1 それからの二人

4/39
前へ
/681ページ
次へ
あちこちから、悲鳴にも似た女の子達の歓声が響き渡る。 「……」 その迫力に圧倒されて固まっていると、明らかに、一人だけ異なる存在感を放つ在校生の姿が見えた。 少し離れた場所からでも分かるくらい整った顔立ちに、抜群のスタイルを持ち合わせたその人は、他の在校生と同じ制服姿にもかかわらず一際目を引いていて。 あの人が、噂の「直生先輩」だとすぐに気づいた。 「直生先輩! 先輩を追いかけて入学しました!」 「先輩のファンです! 雑誌、毎月買ってます!」 こんな声が飛び交う中。 当の本人は反応を示す事なく、他の在校生達と共に私達の横を通り過ぎていった。 ……なんて無愛想な人なんだ。 「はあ……、カッコ良かった。 あのクールな感じがいいよね」 え?
/681ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3312人が本棚に入れています
本棚に追加