10 それは突然に

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先輩の中では、異例極まりない行動だったらしく、苦笑する気配が耳に届く。 けれど、私にとっては想いの強さを実感した機会で。 先輩がそんな風に考えてくれていたなんて驚きで、自然とこう口にしていた。 「び、びっくりしました。 お仕事なのにそこまで……」 『そりゃ真剣に考えるよ。 愛也の代わりはいないし』 「…………殺し文句ですか」 ずるい。 なんのてらいもなくストレートにそう言われると、 胸キュンせざるを得ない。 『ハハ、なに言ってんの。 ただただ俺の本音だけど』 うぅ。 「やっぱり殺し文句です」 『なに、どうしたの急に。 ちゃんとしたの言おうか? 俺も愛也が不足してるし』 だんだん盛り上がってきたようで、面白がる先輩。 ただこのままそういう空気に流れていっちゃうと、本題がブレちゃいそうで。
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