1 それからの二人

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そう感じたのも束の間。 こうして靴下とローファーを履いた足元を目にするのも、3年間、学校生活を共にしたこの制服を身に着けるのも今日が最後だと思うと寂しい気もして、ちょっぴりしんみりしていると。 右側の車道からこちらに向かって走ってくる、黒い車に気づいた。 手にしていた携帯の画面を見るとちょうど待ち合わせの時間になっていて。 私は、その車の持ち主を確信する。 ……3ヶ月ぶりだ。 久しぶりに会うせいか、胸はいつになく高鳴って。 黒い車体が静かにやって来て、少し手前で止まった頃には、笑顔を忘れてしまう程にピークを迎えた。 そんな私をよそに、運転席のその人は私と目が合うなりふんわりと笑みを浮かべて。 助手席の窓が下がると同時に手のひらをひらひらと振った。
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