3 恋バナとエピソード

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試着室の向かい側にある椅子に腰を下ろしながら、玲奈が言う。 「分かりやすい?」 「うん。 だって、ふとした時の『可愛い』は愛也に対しての言葉だよね」 「私?」 洋服に対してじゃなくて? 「どう考えてもそうでしょ。 あーあ……要するにノロケかあ」 「そ、そんなつもりは……」 ため息混じりにそう言われて、タジタジになる私。 ノロケるなんて、そんな余裕はいまだに持てない。 先輩の動向一つですぐに気持ちがゆらゆらしたり、ぐらついてしまうからだ。 「悩む事ないんじゃない?」 「え?」 「ワンピース。 どれを選んでも可愛いって言ってくれるよ」 「……」 玲奈の言葉に。 ホッとしたような、背中を押してもらえたような。 そんな感覚を胸に抱きながら、私は試着室のドアを閉めた。
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