10 それは突然に

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この日は、こんな和やかなやりとりを交わした後。 次の土曜日は先輩のリクエスト通り、しょうが焼きを作って、部屋で帰りを待っている事を伝えると。 『覚えててくれたんだ? じゃあ撮影スケジュール巻いて早く帰れるように、その日は特別頑張るから』 先輩は嬉しそうに言って。 それがまたナチュラルで。 モデルの時からは想像もつかないような、なんとも無邪気な一面を覗かせる。 「……ずるいなあ、もう」 『え?』 しまった! 心の声が! 「ただのひとり言です」 慌ててごまかしつつも。 何気ない会話がもたらしてくれる幸せの大切さを、あらためて実感しながら。 少し眠たそうな先輩とおやすみの言葉をかけ合い、一時間程の通話を終えた。
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