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第2話。新しい風が吹く。
2-1.岡崎
あれから時間が流れた。あの時からゆずるからの連絡はないんだ。もちろん岡崎自分もしない。
がらんどうの部屋に一人だけ残った。静かすぎるこの部屋が嫌いだ。
空虚(くうきょ)な感じがする。
岡崎は毎晩泣いて泣いて泣いた。
ゆずるを忘れるため、毎晩酒で悲しみを紛らした。
だがお酒を飲んだら忘れられると思ったけど
むしろゆずるのことがもっと恋しくなってだいぶ辛かった。
寂しかった。ゆずるに会いたかった。声を聴きたかった。
自分も知らずにスマホをずっと弄っていた。
もしかしてゆずるから連絡が来るかも知れないという期待感も持っていた。
自分からお別れを告げたくせにあんなことを考えていた。
ゆずるから連絡が来たら、、
その時はやむを得ずまたゆずると付き合うことになるかも知れない。
でもそんなことはなかった。
あの日のようにまた一人になるのが怖いんだ。
ある日は迫り来る恐怖の極みで頭が可笑しくなってしまいそうだった。
でも歯を食いしばって耐えた。そうすべきだった。岡崎にはまだやらなければならないことがある。
責任を取らなければならないことがあるんだ。それは塩谷に罪滅ぼしをすることだ。
ありがたく時間が流れば流るほど一人でいることに少しづつ慣れて行った。
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