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第3話.闇の中、心の叫び声・・
3-1.岡崎
それから時間が流れ岡崎はいつもの通りに世間並みの暮らしをしている。
少し変わったのは愛おしい恋人であったゆずるがそばにいない、これが変わった。
ゆずるとの恋はあまりにも苦々しい思いだった。でも思ったより辛くはないんだ。
ゆずるがそばにいてもいなくてもどうせ寂しさを感じるのは同じだからだ。
そして塩谷のことだけど少しずつ目覚める塩谷への恋は収めた。
そうだ。塩谷への思いは胸に畳んだ。そうすべきだった。そうするしかなかった。
まだ社会は同性愛に厳しい。
ゲイじゃない人だとしてもああいう連中に関わるのは
今の塩谷のキャリアになんのメリットのないことだ。
プラスところかマイナスにしかならない。
そうだ。この道は得るものより失うものが多いんだ。
特にこの保守的な会社ではもっとも注意すべきだ。
今まで積んできたのが全部崩れるかもしれない。
そうさせたくないんだ。塩谷がどれだけ必死に頑張って来たのか分かっているからだ。
世間からのゲイの処遇(しょぐう)ってまったく己の人格とか資質や能力に構わず
彼らたちにはただ汚いホモだと思う人もいる。
そう思わない人もいるはずだが
残念ながらこの社会からはまだこの恋は認めてもらえないのが事実だ。
芸能界は少し悠然(ゆうぜん)なのかも知れないけど岡崎がいる分野はまったく違う。
あまりにも極端(きょくたん)な考えかも知れないが岡崎の周りには
ほんとんどこんな考えをもつ人が大多数(だいたすう)だった。
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