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だから違う場所を探したの。今度見つけたのは少し細くなったけど、高くまっすぐ伸びていて、周りが少し拓けた木。でも根元で女の人が、お腹の上で手を組んで眠ってた。
ハーフだったのかしら、とても鼻筋の通ったはっきりした顔で、お化粧をしっかりして、髪は明るいブラウンで、とてもきれいにしてる人。服は上半身が赤で、下は白いスカート。
どうして服のチョイスはこんなに雑なのかしらと思ってよく見たの。そうしたら、白いワンピースだった。トップスが赤いのは、その人が首を切っていたから。きれいな顔して、モデルさんの写真みたいに美しく木の根に身を預けて、おしとやかに手首なんて切らずに首を自分で一突きしてたの。しかもナイフは持ったまま、その手をお腹の上で組んで。
きれいだった。本当にきれいだった。辺り一帯が、彼女の死にざまのために作られた舞台に見えるくらい。そんなところに私みたいな平凡な女が、いいえ、絶世の美女でも踏み込めない。彼女がそこを選んで、最後にナイフを自分の腹において微笑んだ執念を邪魔するってことだったから。
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