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どこもかしこも、もう使われてる誰かの場所。どこにも空いてる場所がなくて、どこも私を待っててくれない。いくら歩いても暗くなるばっかりで、でも誰かさんたちの気配はあって、一人になれはしなかった。時間ばかりが過ぎていった。
そしてやっとこの崖に辿り着いたの。というか阻まれたのね。真っ暗だと目の前が見えなくて、向こうに同じような崖か何かがあるのかもわからない。まるで、世界がここで別れてるみたいでしょ。これ以上先に進ませないって言わんばかりよね。誰もいない場所でひっそり首を吊って終わりたかったの。なのに、こんなところまで来ちゃって、何時間も費やして。妥協の境地。本当に何もかもがどうでもよくなった。
先に足元の石を落としたわ。水の音を聞いて、気持ちがいいかも、なんて考えながら自分も落ちた。
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