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第一章 つわもの
廃城の空には星々が優しい光を放ち、人々に夜の到来を心に染み込ませる。
時は止まっているのだが、四六時中昼ではなく朝も来れば夜も来る。
それは、お師匠様に教わった不思議の一つでもあるが、ヨルは深く考えるはずもなかった。
そして、その夜を迎えた。
「ふふふ。 ヨル様。 楽しみにされて居られますね?」
「うん。 天下を目指すのだったら――強い戦士が不可欠ですよね? さっと引いてさっと天下を取れればそれで全て解決……何が解決なのか……まっいっか。 気にしないでおこう気にしないでおこう――」
綺麗に拭かれたテーブルの上にカードブックが置かれていた。 ヨルが無造作にカードブックを置くのを、母親になった気持ちでアルミが先に用意しておいたのだ。
「この銀のカードは、いつ頃捲ることができるのです?」
「実はもう捲れる状態にあります。 夜の到来と同時に開放されるとのことですので、カード達が並ぶページを開けば、銀のカードの縁が強めの銀色に発光していると思いますよ」
ヨルは見ていた。
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