ラマヌ、SNSを普及させる

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 瞬く間にラマヌの新魔術「SNS」は広まっていった。  本自体に魔術がかかっているため、読み書きさえできれば誰でも使えるという敷居の低さ、遠くに居る人間でも互いの近況を伝え合うことができるという便利さから、皆がこぞって使うようになった。  だが……。    ゴッドフレイの書いた日記には、滅多に返信が来ないのだ。誰からも読まれていないというわけではないはずだが……。  反面、料理のレシピだの自作の絵だのを公開しているラマヌの日記には書き込みが殺到している。顔も知らない友達も大勢出来たそうだ。  ちなみにラマヌは肉食を嫌い野菜や穀物などしか食べない。昨今流行りつつある『菜食主義者』たちから、ラマヌのレシピは多大なる人気を得ているらしい。 「ほーら勇者様! ラマヌちゃんの日記にはこんなにファンが大勢居るんですよお! 羨ましい? 羨ましいでしょ?」 「肉を食え肉を。頑強な身体を養うのは肉と決まっているんだ」 「豆とお野菜で十分ですー。負け惜しんでる勇者様、かっこわるいー」  完全に格下扱いだ。我慢ならん。ここは、切り札を出すしかないようだな……。 「見ろラマヌ! 俺の日記に、あのオーマさんから書き込みがあったんだ!」   「誰ですそれ。知らなーい」 「まったく、無知蒙昧とはこのことだな。いいか、オーマさんとは、その博学な知識から定評を得ている識者だ。日記には古代のモンスターの生態から幻のアイテムの在り処、遺跡の場所などが書かれている。その知識は極めて正確で、この俺も舌を巻いたよ。極めつけは魔王軍に関する豊富な知識だ。かつて存在していた魔王とその配下の将軍たち。その特徴や弱点までをも書き記しているんだ。あまりにも的確すぎるゆえ『オーマさん魔王説』まで一部で囁かれているほどなんだよ!」 「ふーん。でも、魔王なんておとぎ話みたいなもんでしょ?」 「ラマヌよ、魔王はいつ復活するか分からないんだぞ。備えはあるに越したことはない」  危機感の薄い奴め。魔王の復活はもう目前に迫っているというのに。まあこの事実を知るのはゴッドフレイを含めたごく少数しか居ないから、平和ボケするのも無理からぬことか。 「今度、オーマさんと実際に会うことになったんだ。日取りは決まってないけれど、今から楽しみで仕方ないよ」 「へえ、そうなんですか……」    舞い上がる勇者をよそに、ラマヌは不敵な笑みを浮かべていた。
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