ソーシャル・ナントカ・スペル略してSNS

魔術師ラマヌとの出会い

　かつて繰り広げられた勇者と魔王の熾烈な戦いは、今やおとぎ話となった。

　平和な世界が当たり前となり、人々はこの日常が永遠に続くのだと信じている。

　しかし、勇者の子孫であるゴッドフレイは知っていた。魔王の封印は百年しか持たないことを。

　封印の期限は、残り三年。そうなれば、世界は再び暗黒の時代に逆戻りだ。

　この事実を知っているのはゴッドフレイを含めた勇者の後裔の一部だけ。無用の混乱を避けるため、未だに秘されているのだ。

　ゴッドフレイは日々その身を鍛えている。近く訪れるであろう、魔王との戦いに備えるため。この日も、山奥で剣術の修練に明け暮れていた。

　その最中、爆音が響いた。

　ゴッドフレイが急いで音のあった方向へ行くと、一人の少女が手を天に突き上げて喜んでいた。

「やったあ！　タダ飯食らい大成功！」

　少女の口元には、果実の食べかすが盛大に付いていた。