魔術師ラマヌとの出会い

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「私の名はゴッドフレイ。剣士の端くれだ。まず貴殿の名を聞きたい」 「ラマヌです。魔術師やってます」  ラマヌ。珍しい名だ。家名なのか本人の名前なのか愛称なのか、それすら分からない。 「ゴッドフレイさん。ここ、どこです? ざっくりとでいいので教えてもらえません?」 「ここはアルビオンの山奥だ。ラマヌ殿はどこから来たのだ?」 「マドラスです。あっちゃあ、ちょっと離れすぎたみたいだなあ」  マドラスは香辛料の貿易で栄えた国だ。今も多くの国々と接点を持っている。ゴッドフレイの住むアルビオンとは友好国の関係であり、船を使えば問題なく行き来することは出来る。が、いくら早くとも十日はかかるはずだ。 「マドラスとは、随分と遠方から来たのだな。長い旅路だったろう。私が近くの村まで案内する。そこで休むといい」 「だいじょぶですよ。ラマヌちゃん、さっき盗み食いしたてで魔力も充実してますし」  魔術師は、魔力を消耗すると急激に腹が減るらしい。剣術一辺倒のゴッドフレイには理解しがたい感覚だが、見かけの割に大食漢な魔術師はこれまでも多く見てきた。時には魔獣との戦いの最中に食事を始める魔術師さえも居たほどだ。だから、盗み食いをしたというラマヌの行為も、魔術師という立場を考えれば正当化出来なくもない。 「しかし、魔力はあっても身体の方が付いてこないだろう。あれほどの長旅だ、休んだ方がいい。旅の路銀が尽きたのであれば、私が建て替えよう」 「だーかーらー! だいじょぶなんですって! だって、ラマヌちゃん、ぴゅーんって飛んできただけですし」 「飛んできた?」 「ええ。ラマヌちゃんの考えた新魔術『トランスファー・エニイ・エックス・インタレスト』略してTAXIでね!」
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