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数秒後、ゴッドフレイの身体は爆音と共に地面に打ち付けられた。
さほど痛みは無いが、目の前の光景に驚愕した。
間違いない。ここはマドラスだ。辺りにはラマヌのように肌の浅黒い人々が多く見受けられた。皆、ラマヌが唱えたTAXIの魔術に驚いて騒ぎ立てている。
「では行きましょう勇者様!」
ラマヌは人々の目も気にせず、再びゴッドフレイの手を握った。目と鼻の先にはヤッパル魔術学院があるが、まさか一緒に来いとでも言うのか?
「ラマヌ殿! 待ってもらいたい! 私も言いたいことが二、三ほどあるのだが!」
「何でしょう勇者様?」
「まず私は勇者ではない! 御祖様の血を引くだけで、その誉れある肩書きは名乗れないのだ!」
「でも、ラマヌちゃんにとっては確かに勇者様なんです。誰がどう言おうとも! ラマヌちゃんがそう決めたんですから、ゴッドフレイさんは勇者様なんですよ!」
謎かけめいた言い回しをするラマヌ。
「とにかく行きましょ! 学校へ! 早く私を解き放って下さい!」
解き放つ……?
その意味は理解できなかったが、ゴッドフレイは不承不承ながらラマヌと共にヤッパル魔術学院へと向かった。
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