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温かい日差しに、心地よいジャズの音。
穏やかな時間が流れる。
どれだけの時間が経っただろうか?
例の彼女がやって来た。
今日は柱が邪魔する事もなく、彼女の姿が全て見える位置ではあるものの、不躾な視線を送るのも失礼だと思い、コッソリと目を向けた。
自分の位置からでは顔は見る事は出来なかったが、やはり、長く綺麗な髪とスレンダーな体型。
そして、ほっそりスラっとした指には、鮮やかなネイルが施されていた。
これ程、身嗜みに気を遣っている女性も中々珍しい。
思わず見惚れていると、彼女の元に珈琲が運ばれてきた。
すると彼女は、自分のバッグからシガレットケースみたいな物を出した。
勿論、このお店は禁煙。
珈琲の香りと味を台無しにしてしまうからね。
その事は、常連になりつつある彼女であれば分かっている筈。
まさか煙草を吸おうなんてことはしないだろうなと、さっきまで見惚れていた癖に、この癒しの空間に無粋な真似をしようとしている彼女を、咎めるような視線を向ける。
この後の行動次第では、マスターに代わって注意してやろうと、いらぬ正義感が湧きだした。
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