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ジッと見ていると、そのケースからは煙草ではなく、何か薬のようなラムネのような……もしくは、フリスクのような。
俺の位置からでは、何を出しているのか分らないけれど、その得体の知れない物を掌に取り出し、自分の口に含んだんだ。
カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ
くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ
ゴクンッ――――
新たにケースから取り出し、口に放り込む。
カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ
くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ
ゴクンッ――――
何とも形容しがたい、噛み砕く音と咀嚼音が耳につく。
第一、ここはカフェだ。
そんな所に、自分が持ってきたお菓子を……あぁ、でも。
フリスクや飴くらいは皆、やっていることか。
そう考え直すと、苛立った気持ちも収まり、気にせず、いつものように読書と珈琲を堪能しようと視線を本に落としたものの、一度気になった音は、気にしないようにしていても耳につくもので。
カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ
くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ
いつまでも鳴りやまないその音に、いい加減頭に来て、注意しに行ったんだ。
「すみません。少し、その、“お菓子”食べるのやめて貰えませんか?」
彼女の目の前に立った瞬間、思わず金縛りにあったかのように、あまりの怖さに立ち尽くしたね。
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