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カツンッ!
取っ手部分に、彼女の人差し指の綺麗な爪が当たった。
その爪が、パリンって飛んできてね。
”あぁ。付け爪だったんだ”って思って、彼女の手を見たらさぁ。
ひとさし指には爪が無くて。
剥き出しの肉が……赤いような、ピンクいような、ぶにょぶにょした肉が見えてさ。
思わず吐き気が込み上げて来たと同時に、いきなり、バッと、彼女が俺の方を見たんだよ。
カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ
くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ
口の咀嚼だけは止めずに、目を大きく見開いたままこちらを見つめる彼女の顔は、ゲッソリとやつれてて。
落ち窪んだ目には、生気が一切宿っていなかった。
足元からゾワゾワゾワッと這い上がって来る鳥肌と共に、「うわぁぁぁぁ!」と、大きな声を上げて腰を抜かしたら、マスターも、奥に座っていたカップルも、慌てて俺の近くに寄って来てくれた。
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