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土曜日。
仕事も休みとなった為、俺は真由と二人で買い物に出掛けていた。
「……」
真由はまだ、あの弁当のことを引きずっているらしくぶんむくれたままだ。
いつもなら荷物持ちを手伝ってくれるのだが、今日は一切手伝ってくれないため、俺の片手は少し痺れてきている。
「あれ?神崎…と、真由ちゃん?」
ところが、前からかかった声に真由の表情が“花が咲いた”ように激変した。
声の先には、にっくき男、呼道 勇騎。
やたらとカッコいいバイク(たしかホンダのCBR1000RR…カブトとかダブルのバイクのベース車になってる奴だ)に跨がるその姿は確かにカッコいい、男目線で見ても。
途端に黒いオーラを発散し始めた俺を見て、若干身を引くソイツに目を輝かせる真由の姿に、俺はいつか目の前の男に1発かまそうとか考えてしまう。
「勇騎さん、御休みですか?」
「いや、仕事上がり。バイク便のバイトやってんだよ」
興奮ぎみに問いかける真由に、若干苦笑しながら答える勇騎。
「このバイクでお仕事されてるんですか!?カブトとかダブルのバイクのもとになってる奴ですよね!?」
「これは私用車だよ、バイク便だとピザ屋とかで見かけるあれさ」
益体ない会話をかわす二人は、ともすれば恋人のよう。
益々炎が心に点るのだった。
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