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ここは、世界の中の小さな国の、さらに小さな空間。
まるで昔のイギリスにあるような校舎に、牢獄のように規律の厳しい寮。毎日毎日、何処に居るかも分からない神を讃え、ただ男子だけで修行院に居るような生活。ろくに太陽の差すことのない灰色の城で、僕達は心も体も少年のままに生きる。
それなのに、どうして君だけが羽ばたこうとした?
「主よ…」
一つの言葉を呪文のように繰り返しながら、ベッドの中に潜む黒い沼に沈んでいく。
『彼を我の記憶から消したまえ。全能なる神よ、主なる神よ――――――』
黒い波に揺れながら、思考だけが漂う。
僕は彼を拒絶した。何があっても口さえきかぬ程彼を避け続けた。彼の近くに寄るだけで気分が悪くなった。
僕達は昔、確かに仲が良かったけれど……
あの朗らかな笑い方。ブルーグレーの瞳。薄い茶の細い髪。
それらが眼球に映るだけで、僕は。
……まるで、何かに激しく責められるような不快感をおぼえたんだ。
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