リアル／アンリアル

リアル

「ね、今日クレープ食べて帰ろうよ」

マキがそう言って、背中をボールペンでつついてきた。

振り返ると、彼女はいたずらっぽい笑みを浮かべて私の方を見ていた。

「いいよ」

「やった！」

私が了承の返事をすると、マキは子どものように両手を挙げて喜んだ。

「なになにー？　クレープ食いに行くん？」

その様子を見て、隣の席に座っていたリョウコもこちらに顔を向けた。

「そう！　リョウコも行く？」

「行く行くー。駅前に新しくできたクレープ屋気になってたんだよねー」

「じゃあそこ行こー！」

椅子の上で器用に飛び跳ねながら、マキはきゃあきゃあと黄色い声を上げた。

私はその様子を見ながら、無理やりほんの少しだけ口角を持ち上げていた。