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「ねー!」
口元に生クリームをつけたマキが、きらきらとした瞳で微笑み返してきた。
そして、マキはそのまま視線を私の手に握られたクレープに移動させ、もの欲しそうにじっと見つめた。
「……食べる?」
「いいの!?」
マキの方に少しだけクレープを傾けると、マキはばっと顔を上げて大声で私に確認の言葉を投げつけた。
苦笑しながらマキの口にクレープを運ぶと、彼女はわーいと歓声を上げながら思い切りかぶりついた。
口をもごもごさせながら、とろけそうな笑顔でマキはんー、と言った。
「おーいしー! アオイもマキのクレープ食べていいよ!」
マキはそう言って、顔に生クリームがつきそうな勢いで、私に自身のクレープを近づけた。
「ほんと? ありがとー」
私は差し出されたクレープを、小さく口に含んだ。
いちごソースの匂いが鼻をついて、私は反射的に吐き出しそうになってしまった。
すぐに飲み込むことができず、私は口元を隠しながらマキのもおいしいね、と言った。
「相変わらず君らはラブラブだねー」
茶化すようにリョウコが横から言ってきた。
「えへへー。マキはリョウコも大好きだよ? でもミントはニガテだからいーの」
「へいへい」
リョウコはすねたように顔をぷいっと背けて、チョコミントをほおばった。
あーん、すねないでよーと言いながら、マキはリョウコの背中をポンと叩いた。
そのやり取りを見ながら、私は顔をひきつらせ、ほとんど噛まずにクレープを身体の中に流し込んでいた。
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