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「マキね、リョウコのことあんま好きじゃないんだ」
帰り道を歩きながら、突然マキの口からそんな言葉がこぼれた。
私やマキと違って電車通学のリョウコは、先ほどのクレープを食べ終わってすぐに駅で別れた。
だから、この言葉が発せられた時、リョウコはもうすでに私たちのそばにはいなかった。
「……そうなんだ」
私はそう返すのがやっとだった。
「なんかさ、ちょっと大人ぶってるっていうか。私はお姉さんなのよー、あなたたちはまだ子どもねー、っていう感じの態度。あれがね、気に入らないんだ。さっきだってチョコミントなんか選んじゃってさ。あんな歯磨き粉みたいな味するののどこがいいのかマキわかんない。アオイもそう思うよね?」
マキはどんどんまくしたてるように言葉を口から吐き出し、私に同意を求めてきた。
私はぱさぱさに乾いた唇から、ようやく一言だけ声を絞り出した。
「……うん」
「やっぱりー? アオイもそうだと思ったんだー。アオイはほんとにマキと気が合うよね。さっきのブルーベリーだってベストチョイスだし。もうベリー系最高って感じ。マキ、アオイのことだーいすき!」
「ありがと。私もマキのこと大好きだよ」
「わーい!」
そう言って、マキは私の腕に絡みついてくる。
その反動で、お互いの鞄についているキーホルダーが揺れた。
マキが好きな、ぬいぐるみのような大きさのキャラもののキーホルダーだった。
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