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「た、助け・・・!」
無様な逃げ方であったが軍人は逃げることに必死だった。初めて目の当たりにした、人の死というものに恐れをなした。
自分は死なない。政府軍についていれば、死ぬことはなく殺人を正当化して行える。ずっと、それを信じてきた。そんな愚かな幻想は一瞬で崩れ去った。
これが、死。これが、殺人。これが、恐怖。これが----。
「え?」
軍人の胸元をフェンシングで使う先が尖った剣、レイピアが貫いた。大男の大剣とは真逆の鋭く、細長い剣だ。
いったい、誰が?
彼が振り返るとレイピアを持っていたのは女性であった。女性はやはり、大男と同じ赤髪で後ろに長く髪を伸ばしていた。色白の肌を隠すように中世時代の銀白の西洋鎧を身に纏っていた。グラディエーターの格好といい、いつから、ここは仮装パーティーの会場になったのか。
命が潰えるまでの間、兵士は何が起こっているのか目を見開いていた。
輸送ヘリから降りてきたのは青年や大男だけではなかった。
先に鉄球の付いたフレイルを振り回し軍人を圧倒していくロングブーツに黒いローブを身に纏う男。タバコを銜え二丁拳銃を振り回し軍人を撃ち殺していく姿は、まるで西部劇のドラマに出ても出てきそうなテンガロンハットを被るガンマンを思い出させた。
時代錯誤なコスプレをした連中に自分達は手も足も出なかった。
「ははは。夢だ・・・。これは、夢だ・・・」
軍人が夢だと思いたくなるのも仕方なかった。奇襲を仕掛けた敵、全員が血に染まりながら戦っていた。そして、その血に負けないぐらい真っ赤に染まっていた赤髪。
赤髪だけの戦闘部隊など聞いたことがない。コナン・ドイルの『赤髪連盟』でもあるまいし。赤髪だけの集団など。
けれど、これは現実だ。彼らは赤髪だけの組織なのだ。
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