こいのまほう■

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彼に出会って、瞳孔が0.5秒で反応する。 A-10神経がドーパミンを放出。 フェニルチアミンの分泌量が増える。 妻と結婚して6年。3年目のジンクスは乗りきったが、いわいるときめきホルモンのフェニルチアミンの減少は著しく、妻との関係は男女と言うより友人に近い。 転勤した先の精神科病院で、よりにもよって恋に落ちるなんて、最悪だと思う一方で、上昇したホルモン濃度は激しく興奮と陶酔を起こさせる。 この病院に転勤して3年。新人の殻を抜け出した位の若年だが、精神科病院の相談室所属ケースワーカーとして、大袈裟かも知れないが、それこそ分刻みのハードワーキングにあたっている。 ストレスフルな職場で俺のストレス解消はジョギングだ。 時間を見つけては走っている。 ここは、せまい敷地ながらも病院関係者しか利用出来ないエリアで、あまり人もこない。 俺は手早く着替えて柔軟し走り始める。 俺の身体はもう反射が作られたのか、走るとランナーズハイを起こしてエンドルフィンが分泌される。ハピネスホルモンだ悪い気はしない。 腕時計のタイマーを止めて荷物をまとめて置いた場所に行く。 そこには金子駿斗精神科依存症外来担当Drがいた。 金子は愛煙しているラッキーストライクの吸い殻を飲んでいたであろう缶コーヒーのからに捨て入れた。工藤は眉をしかめて 「清掃スタッフの迷惑です」そう言った。 金子は 「工藤さんあんたは依存症外来を一度受診するべきだ」 「何故?」 「あなたのジョグは健康のためじゃない、反射されたランナーズハイ、いわいるエンドルフィン依存だ」 「それの何処がいけないんですか?だったらニコチンやカフェインが手放せない人間全員医者にかかるべきだ」 金子はラッキーストライクのパッケージを叩き、一本くわえ火を付けた。紫煙を吐き出し。 「過ぎたるは毒だ、そう言いたかっただけですが気にさわったらすみません」 工藤は黙って用意していたペットボトルの水を飲み。 「…いえ、俺こそ言い過ぎました」 手早く着替えて工藤は金子にひと言 「ご結婚なさるんですか?」 金子は片眉を器用に上げ 「どこからその話を?」そして「ーー工藤さんもそんな話しに興味あるんですね」 そう言われて工藤は黙って駆け出した。 俗に恋の魔法、ときめきホルモンの持続年数は2~3年と言われ、
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