ヒーロー

4/6
前へ
/40ページ
次へ
「これ、『超人マシン ヘラク=レス』じゃん! 篠崎ってヘラク=レス好きなの!?」 顔を赤くする篠崎。 「おんなのこが……こんな本読んじゃ……ヘンだよね?」 俯きながら、ボソリとつぶやく。 しかし、悠斗はそんな篠崎を気にすることなく あっけらかんとしながら言った。 「別にいいじゃん、面白いんだから。」 パッと顔をあげる篠崎。 そういった後、悠斗は 「でも……」 と付け加えた。 「こんな文字ばかりの奴じゃなくて、マンガの方が面白いよ! 今度貸してあげるよ。」 「ホント!? 私……、うれしい!」 いつも暗い表情の篠崎が、 見たことのないような、 ぱぁと明るい表情を見せた。 ざわざわとした 席替えの喧騒の中、 悠斗だけがその笑顔を見ていた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加