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ビックリして目を見開いた私と、悪戯っ子みたいな顔をした晴翔の視線が合った。
「目、閉じて。もう一回。」
言われるまま目を閉じると、今度はさっきよりも長い時間、晴翔の唇と私の唇が触れ合った。
その間に晴翔の腕がまたそっと私の背中を包んでくれた。
その腕の太さと逞しさと胸板の堅さに、晴翔が男のコなんだと改めて感じる。
「咲花ってば、小っちゃいのな。 俺が守ってやらなきゃな。」
「うん。嬉しい。」
今まで、私のコトをこんな風に言ってくれた人なんていなかった。
親にさえ、守ってもらったコトなんか無かった。
その言葉は私にとって魔法の言葉になった。
私には晴翔がいる。
いつでも私を守ってくれるんだ。
私を守ってくれる人がいる。
そのコトが、どれだけ私にとって大きな存在になっていくのか、その時には分からなかった。
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