過去

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過去

中学に上がった頃から視力が落ちて黒板が見えにくくなった。 視力検査でもかなり落ちていたので、母のお下がりの眼鏡をかける様になった。 母のお下がりの眼鏡は昔のモノで、上だけ赤い縁のメガネでレンズのブ厚いダサダサ眼鏡だった。 小柄な私のあだ名は一発で『チビ眼鏡』になった。 その上にクラスの男子が『出っ歯』を付け足してくれた。 『チビ出っ歯』『メガネ出っ歯』『出っ歯メガネチビ』『メガネチビ』そんな麗しいあだ名が命名された。 女子同士の陰湿なイジメを受けた訳じゃなかったけど、男子から毎日浴びせられる容姿に関するあだ名は、私の自尊心も自己肯定感も見事に打ち砕いた。 そんな私は、中2の時の記憶が無い。 私の中学校は、マンモス校と言われる位に大きな学校で一学年でも500人位いて。 2年生に上がる時のクラス替えでは、同じクラスに誰も知ってるコがいなかった。 かつ新学期には必ずある自己紹介の時間に、やっぱり名前を言うと、どこからともなくクスクスって小さな笑い声が聞こえてきて。 それが、更に私に周りとの壁を作らせた。 すっかり人見知りになった私は、自分から声をかけて友だちを作るなんて事も出来ずに、常に一人ぼっちだった。
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