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始まり
梅雨の晴れ間、6月とは思えない真夏の様な強い陽射しに頬っぺたがジリジリと焼けるのを感じる。
いつも使う駅とは路線の違う、バスでちょっと遠回りをしなくちゃいけない大きな町の駅。
ショッピングモールの中にある広場の周りに並ぶ飲食店。
その中の一つのドーナツ屋さんの前に並ぶベンチに腰掛けて真っ青な晴れた空を見上げていた時。
「咲花(さやか)ちゃん?」
振り向くと、茶髪の前髪を下ろして薄い色のサングラスをした、小柄だけどオシャレな服装の男の人がニコニコと微笑んでいた。
「あ、はい。 咲花です。 晴翔(はると)さんですか?」
「そう、俺が晴翔。 こんにちは。今日はよろしくね。あー良かった。咲花ちゃんが可愛くて。」
「え? か、可愛い? いや、そんな、、、あ、あ、初めまして、咲花です。今日は、よ、よろしくお願いします。」
勢いよく頭を下げる私に
「いや、そんな敬語辞めてくれる? 俺、そんなガラじゃないから。」
「あ、うん、分かった。じゃあ、よろしくね。」
私と晴翔の出逢い。
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