恋の始まりは突然に

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恋の始まりは突然に

駅のホームの上で電車が来るのを待っていた。 『まもなく電車が来ます。黄色い線まで下がってお待ちください』 駅のアナウンスがかかる。駅の向こう側にポニーテールの髪型をした私とは違う制服姿の女子学生が目に入った。その女子学生と目が合うが、彼女はすぐに目を逸らした。 (なんだろう……このそわそわ感……) 私と彼女の間を裂けるかように電車が割り込んでくる。私は何気なく電車に乗った。 それから私は中学校を卒業した。そしてそのまま上に上がって高校へと進学した。 高校には他の学校から来た生徒たちもいた。その中にあの女子学生も紛れていた。 しかも……。 入学式当日、私は教室の部屋に入った。すると窓際であの女の子がいたのである。でも話しかける勇気がなかったので私はその日、彼女に近寄ることができなかった。いや、その日だけではない。その次の日もまたその次の日も話しかけられなかった。 (なんだろう、このもどかしさは……) 女の子の名前は入学式当日に彼女の口から聞かされた。”ゆきむらかなで”さんというらしい。漢字は教えてもらえてない。 そんなある日のことだった。 「坂田くん、先生が呼んでるよ」     
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