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私の方が彼女のことを早く好きになっていたぞ。そう思うと胸が痛い。
「それで相談は?」
「坂田くんにとってもらったら嬉しいものは何かな?」
なるほど、それで気を引きつけるのか。ここで好きな物を答えたらダメだ。嫌がりそうなのを答えよう。でも毛虫とかそういうのだと逆に彼女に嫌われる。
彼女は真剣に私の顔をまじまじ見る。そんなに近寄ってもらわれるとますます好きになってしまう。
「そうだな……ピンクのハンカチとか良くない?」
「えっ?ハンカチは分かるけど、なんでピンク?」
しまった。勘づかれたか。男はピンク色を使うのに抵抗があると思っていたからなんて言えない。だが、私には彼女を喜ばせる最高の理由を用意していた。それは逆にもらった彼氏を苦しめる理由である。
「愛の色だよ。もし使わないところを多く見るなら愛が届かないし、使うなら愛が満ちるからね。どうかな?」
「さすが坂田くん。坂田くんに聞いてよかった」
彼女は喜んで席に戻っていた。私の家に戻るまで気は落とさないようにしなくては。
そして私はその日、家の中で布団に伏せて思い悩んだ。
次の日。
私は彼女のことを応援することに決意した。そして教室に入る。何も変哲のない学校生活を送る。
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