3人が本棚に入れています
本棚に追加
「また帰ってきたな。」私達は年に数回日本に帰国する。日本には長女と次女がいるからだ。例年お盆と正月には必ず帰るようにしている。
綾花は寂しがり屋だ。私や裕ちゃんは仕事が忙しく、その都度よく妹達の面倒を見てくれていた。そのぶん裕ちゃんが帰ってくると、私をおしのけてまで甘えていた。その綾花が、高校は日本で通いたいと言い出した。幼稚園で別れた親友達とずっと繋がりを絶やさなかったのだ。
そのときの約束を果たしたいと、帰国していった。祖父母と住んでいるとはいえ、やはり親に甘えたいのだろう。
綾花の表情はいつしか暗くなっていた。
しかし、帰ってみると…。
なんだかそわそわしている綾花。暗さがなくなっているでわないか。
その横でニマニマしている舞花。二人で何かあったのだなと気がついた。
裕ちゃんは全く気づいてないようだ。ただ、綾花の表情が明るくなっているのは喜んでいたが…。
「お母さん。話があるの。」
裕ちゃんがお風呂に入っているときに、綾花が話してきた。
「何?好きな人でも出来たの?」
「ツゥ…。」と言って真っ赤になる綾花。
「何?ほんとなの?」
今まで男のおの字も出なかったあの綾花から?
最初のコメントを投稿しよう!