お母さんの恋の始まり

4/14
前へ
/14ページ
次へ
この娘は…。 確かに裕ちゃんは有名人だった。小学生最優秀GKに選ばれながら中学でサッカーをしなかったので、幻のGKと巷でわだいになり、茜ちゃんと組んだバンド「荻窪茜と愉快な仲間達」では、文化祭で多数の来客を集めたり、四日市祭りでライブもさせてもらっていた。岳斗君とは規模が違うけど、三重県内同年代で知らない人はいないとされていた。 「有名人でも規模が違うわよ。」 「お父さんW杯とかにも出ていたんでしょ?」 「それは貴女達二人が産まれてからでしょ?付き合う前は誰もが振り向く岳斗君とは違ったわ。校内には沢山ライバルがいたけどね。」 「やっぱりお父さんもてたんだね。」 「恋の始まりかぁ。お母さん一は出会った時に目惚れだったんだけど、まだ好きがどんなのかはわからなかったからなぁ。いつなんだろ?」 「それは俺も興味があるな。」 お風呂から出た裕ちゃんが葉瑠花を抱っこしてリビングに来た。 「葉瑠。弟や妹が歩いてきてるのに、お姉ちゃんが抱っこしてもらってどうするの?」 甘えん坊な三女に注意する。 「パパぁ?」葉瑠が甘える。あの呪文を裕ちゃんに言わせる気? 「大丈夫。ママはママのお父さん、お前達のおじいちゃんには甘えてなかったけど、友達だったパパに小学生から甘えていたから。」
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加