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この娘は…。
確かに裕ちゃんは有名人だった。小学生最優秀GKに選ばれながら中学でサッカーをしなかったので、幻のGKと巷でわだいになり、茜ちゃんと組んだバンド「荻窪茜と愉快な仲間達」では、文化祭で多数の来客を集めたり、四日市祭りでライブもさせてもらっていた。岳斗君とは規模が違うけど、三重県内同年代で知らない人はいないとされていた。
「有名人でも規模が違うわよ。」
「お父さんW杯とかにも出ていたんでしょ?」
「それは貴女達二人が産まれてからでしょ?付き合う前は誰もが振り向く岳斗君とは違ったわ。校内には沢山ライバルがいたけどね。」
「やっぱりお父さんもてたんだね。」
「恋の始まりかぁ。お母さん一は出会った時に目惚れだったんだけど、まだ好きがどんなのかはわからなかったからなぁ。いつなんだろ?」
「それは俺も興味があるな。」
お風呂から出た裕ちゃんが葉瑠花を抱っこしてリビングに来た。
「葉瑠。弟や妹が歩いてきてるのに、お姉ちゃんが抱っこしてもらってどうするの?」
甘えん坊な三女に注意する。
「パパぁ?」葉瑠が甘える。あの呪文を裕ちゃんに言わせる気?
「大丈夫。ママはママのお父さん、お前達のおじいちゃんには甘えてなかったけど、友達だったパパに小学生から甘えていたから。」
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